オーダースーツを作ってみたいと思って調べると、2万円台の広告もあれば、数十万円という話も出てきます。同じ「オーダースーツ」なのに、なぜここまで価格に差があるのか。自分はどのくらいの予算を見ておけばいいのか。最初につまずくのがこの相場の分かりにくさです。
価格の幅が広いのは、オーダーの方式、生地、縫製の手間、店の形態がそれぞれ値段を大きく動かすからです。この記事では、オーダースーツの相場を方式ごとに整理し、価格が決まる仕組みと、予算に合わせた選び方を解説します。
オーダースーツの相場は方式でおおまかに決まる
オーダースーツは、型紙をどう作るかによって大きく3つの方式に分かれます。相場を考えるときは、まずこの違いを押さえておくと全体像がつかみやすくなります。
| 方式 | 作り方 | 価格の目安 |
|---|---|---|
| イージーオーダー | 用意された型紙をもとに、着丈や袖丈などを部分的に調整する | 2万〜6万円程度 |
| パターンオーダー | サンプル服(ゲージ服)を試着し、体型に合わせて型紙を補正する | 4万〜15万円程度 |
| フルオーダー | お客様一人のために型紙を一から作る | 20万円程度〜(手縫い中心だと数十万円以上) |
価格はあくまで目安で、店や生地によって上下します。また、イージーオーダーとパターンオーダーの呼び分けは店によって異なり、同じ内容を別の名前で呼んでいることもあります。名前よりも「どこまで体に合わせて補正してくれるのか」「試着用のサンプルはあるのか」を確認するほうが確実です。
イージーオーダー
既製服に近い型紙を使い、袖丈や着丈、ウエストなど決まった箇所の寸法を変える方式です。量販店やスーツチェーンのオーダーはこの形が多く、価格を抑えやすいのが特長です。標準的な体型の方で、既製服の丈や袖が少し合わないという程度なら、これでも十分に満足できることがあります。
パターンオーダー
複数のサイズのゲージ服を試着し、肩の傾きや背中の丸み、腕の太さなど、体の特徴に合わせて型紙を補正していきます。補正できる範囲が広いほど、体に沿った一着に近づきます。オーダー専門店の多くがこの価格帯を中心にしており、相場の中央にあたる層です。
フルオーダー
採寸した寸法から型紙を一から引くため、体型の制約をほとんど受けません。仮縫い(試着用の仮の服)を経て細かく調整していくのが一般的で、時間も費用もかかります。既製服やゲージ服ではどうしても合わない体型の方が選ぶことも多い方式です。
価格を左右する4つの要素
同じ方式でも、見積もりが数万円単位で変わるのはよくあることです。主に次の4つが価格を動かしています。
生地

価格に最も大きく影響するのが生地です。国内の生地か、イタリアやイギリスなどのインポート生地か、また糸の細さや織りの密度によって値段は大きく変わります。同じ店でも、生地を替えるだけで総額が倍近くになることも珍しくありません。
高い生地ほど良いとは限らない点にも注意が必要です。細い糸で織った柔らかい生地は着心地が良い反面、シワや擦れに弱いものもあります。毎日の仕事で着るなら、丈夫さとのバランスで選ぶのが現実的です。
縫製と芯地
ジャケットの胸から前身頃にかけては、形を保つための芯地が入っています。接着芯を使うか、毛芯を縫い付けるかで手間が変わり、価格にも反映されます。手作業の工程が増えるほど、立体感や着心地は良くなりますが、費用も上がります。
オプション
裏地の柄、ボタンの素材、本切羽(袖口のボタンを実際に開けられる仕様)、ステッチ、ネーム刺繍などは、多くの店でオプション扱いです。一つひとつは数千円でも、重ねると総額に効いてきます。最初に予算を伝え、優先したいところにだけ追加するのがおすすめです。
仮縫いや出張採寸など、工程の追加
仮縫いを入れると、試着と調整のために来店回数が増え、そのぶん費用がかかります。自宅や職場に来てもらう出張採寸も、別料金になっている店が多いです。必要かどうかは体型や用途によって変わるので、店と相談して決めるとよいでしょう。
安いオーダーと高いオーダーで何が違うのか

価格の差は、そのまま「仕上がりにどこまで手をかけられるか」の差でもあります。
低価格帯のオーダーは、決まった型紙と効率化された工程で作るため、寸法の調整はできても、体の傾きや筋肉の付き方まで反映するのは難しいことがあります。一方で、価格の高いオーダーは補正できる範囲が広く、採寸やフィッティングにも時間をかけます。
たとえば、胸板や腕が極端に発達した方は、既製服やゲージ服の補正では対応しきれないことがあります。腕周り65cmの元ボディビルダーのスーツを仕立てた事例については、ブログ「腕周り65cmの元ボディビルダーを仕立てた話」で紹介しています。標準体型から離れている方ほど、価格だけでなく補正の範囲で店を比べる意味があります。
予算別の選び方
相場が分かったところで、目的に合わせた考え方を整理しておきます。
- 仕事用に何着もそろえたい:イージーオーダーやパターンオーダーで、丈夫な生地を選ぶと費用を抑えられます
- 体型に合う一着がほしい、既製服でいつも困っている:補正の範囲が広いパターンオーダー以上を検討する価値があります
- 結婚式や記念の一着を作りたい:生地やディテールにこだわれる価格帯を選ぶと満足度が高くなります
予算を決めるときは、スーツ本体の価格だけでなく、シャツやネクタイ、仮縫いなどの追加費用も含めて考えておくと、あとで慌てずに済みます。
価格を見るときに確認したいこと
オーダースーツの広告では、最も安い生地での「スタート価格」が大きく表示されていることがほとんどです。実際に選びたい生地だと、表示より高くなるのが普通だと考えておきましょう。
見積もりの段階で、次の点を確認しておくと安心です。
- 表示価格に含まれているもの(ジャケットとスラックスの2点か、ベストは別か)
- 生地のグレードごとの価格の違い
- オプションの料金と、どれが標準仕様か
- 仮縫いや出張採寸の有無と料金
- 仕上がりまでの期間と、仕上がり後のお直しの扱い
最終的な金額を裁断の前に提示してくれる店であれば、思わぬ追加費用を心配せずに済みます。
仕上がりまでの期間も予算と合わせて考える
オーダースーツは注文してから仕上がるまでに時間がかかります。一般的には数週間から2か月程度で、フルオーダーや仮縫いを入れる場合はさらに長くなります。就職や結婚式など着る日が決まっている場合は、予算と同じくらい納期の確認が大切です。
L’ECRINの価格について
長崎県北松浦郡佐々町のL’ECRIN(レクラン)では、次の価格からお仕立てしています。
| 品目 | 価格 |
|---|---|
| スーツ(ジャケットとスラックス) | 120,000円〜 |
| ジャケット単品 | 80,000円〜 |
| スラックス単品 | 40,000円〜 |
| シャツ | 20,000円〜 |
| タキシード | 200,000円〜 |
表示はスタート価格で、生地とオプションによって最終金額が変わります。裁断前に必ずお見積りをお出しするので、ご承諾いただいていない費用が発生することはありません。仕上がりはご注文日から約45日です。仮縫いはご希望の方のみ(有料)、出張採寸も有料で承っています。詳しくは料金案内と仕上がりまでの流れをご覧ください。
お店まで来るのが難しい方には、キャンピングカーを改装した移動店舗「LECRIN号707」で伺うこともできます。出張採寸を使うときの注意点は、ブログ「移動採寸サービスの評価:利用前に知っておくべきこと」にまとめています。
相場より「自分に何が必要か」で選ぶ
オーダースーツの相場は、方式と生地でおおよそ決まります。安さだけで選ぶと体型に合わせきれないことがあり、高ければ誰にでも最適というわけでもありません。どんな場面で着るのか、体型のどこに悩みがあるのかを先に整理しておくと、自分に合う価格帯が自然と見えてきます。
サイズ選びで気をつけたいポイントは「スーツのサイズ感」で解説しています。予算の相談だけでも構いませんので、気になることがあればお気軽にお問い合わせください。
オーダースーツのご相談
袖丈・裾丈・着丈も、肩や腕まわりも、サイズ表ではなくお客様の身体に合わせて仕立てます。既製品が合わずお困りの方も、お気軽にご相談ください。
ご来店は予約制で、サロンを貸し切りでご利用いただけます。
お電話でのご予約:0956-76-9512 ・ lecrin0707@gmail.com

