スラックスを選んでいると、「テーパード」という言葉をよく目にします。すっきり見えるらしいけれど、細身のスラックスと何が違うのか、自分の体型に合うのかは分かりにくいところです。
テーパードは、細さそのものよりも「どこから、どのくらい細くしていくか」で決まるシルエットです。この記事では、テーパードスラックスとは何か、ほかのシルエットとの違い、体型に合わせた選び方を解説します。
テーパードスラックスとは

テーパード(tapered)は、英語で「先細りの」という意味です。テーパードスラックスとは、腰から太ももにかけてはゆとりを持たせ、膝から裾に向かって少しずつ細くなっていくシルエットのスラックスを指します。
ポイントは、上が適度にゆったりしていて、下に向かって細くなるという形の変化にあります。全体を細く詰めたスラックスとは違い、腰まわりや太ももにはゆとりがあるため、動きやすく、体型も拾いにくいのが特長です。
スラックスのシルエットの種類
テーパードを理解するには、ほかのシルエットと比べてみるのが近道です。スーツのスラックスでよく使われる形を整理します。
| シルエット | 形の特徴 | 印象 |
|---|---|---|
| ストレート | 太ももから裾までほぼ同じ幅でまっすぐ落ちる | クラシックで落ち着いた印象。体型を問わない |
| テーパード | 太ももにゆとりがあり、膝から裾へ細くなる | すっきりして今らしい。動きやすさも保てる |
| スリム | 太ももから裾まで全体的に細い | シャープで若々しい。体型が出やすい |
| ワイド | 全体に幅が広く、裾も太い | ゆったりとしたリラックス感。トレンドの影響を受けやすい |
スリムとの違い
テーパードとスリムは、どちらも裾が細めなので混同されがちです。違うのは太ももから膝にかけての幅です。スリムは脚全体に沿うように細くするのに対し、テーパードは太ももにゆとりを残し、膝から下で細くしていきます。
そのため、太ももがしっかりしている方がスリムを選ぶと、太ももが張り付いて座るときに窮屈になります。同じ体型でもテーパードなら、太ももに余裕を持たせたまま、裾まわりはすっきりと見せられます。
スラックスの形を決める3つの寸法
テーパードの度合いは、主に次の3か所の幅で決まります。オーダーやお直しの際に知っておくと、希望を伝えやすくなります。
ワタリ幅
股下の付け根部分、太ももの一番太いところの幅です。ここにどれだけゆとりを持たせるかで、穿き心地と見た目の印象が大きく変わります。
膝幅
膝の位置での幅です。ワタリ幅から膝幅への落とし方で、太ももから下のラインが決まります。
裾幅
裾口の幅です。ワタリ幅や膝幅との差が大きいほど、テーパードが強く効いた形になります。裾を細くしすぎると、靴とのバランスが悪くなったり、足首まわりが窮屈になったりするので、全体の比率で決めることが大切です。
テーパードスラックスのメリット
脚がすっきり長く見える
裾に向かって細くなることで、視線が自然と足元へ流れ、脚がすっきり長く見えます。裾が靴に大きくかぶらないため、足元が軽やかになるのも利点です。
体型をカバーしやすい
腰まわりや太ももにゆとりがあるので、お尻や太ももの張りを拾いにくくなります。下半身がしっかりしている方でも、だらしなく見えずにすっきりとまとまります。
動きやすい
太ももに余裕があるため、座る、しゃがむ、歩くといった動作が楽です。生地への負担も分散されるので、膝抜けや股擦れが起きにくく、スラックスを長持ちさせることにもつながります。スーツを長く着るためのポイントは「スーツの寿命と長持ちさせる方法」で紹介しています。
体型別の選び方
テーパードは多くの体型に合わせやすいシルエットですが、ゆとりの持たせ方は体型によって変わります。
太ももやお尻がしっかりしている方
スポーツ経験があり下半身に筋肉がついている方は、ワタリ幅に十分なゆとりを取ったうえで、膝から下を細くするのが基本です。太ももに合わせて全体を太くしてしまうと、裾まで太いままになり、足元がもたついて見えます。
太もも周り65cmに対してウエストが70cmといった体型は、既製のスラックスではまず合わないため、太ももとお尻にゆとりを取りつつ、下に向かって形を整えていく仕立てが必要になります。競輪選手のスラックスを仕立てた事例については、ブログ「競輪選手のスラックスを仕立てて分かった「下半身がっしり体型」が既製服で失敗する理由」で紹介しています。
細身の方
脚が細い方がテーパードを強く効かせすぎると、裾まわりが貧弱に見えることがあります。ワタリ幅と裾幅の差を控えめにした、ゆるやかなテーパードを選ぶとバランスが取りやすくなります。
お腹まわりが気になる方
上半身にボリュームがある方が細いスラックスを合わせると、上下のバランスが崩れて上半身が大きく見えます。腰まわりにしっかりゆとりを持たせた、ゆるやかなテーパードがおすすめです。
細くしすぎないことが長く着るコツ
テーパードを選ぶときに気をつけたいのは、すっきり見せたいあまり、全体を細くしすぎてしまうことです。
鏡の前で立っているときは細いほど格好よく見えても、座ったりしゃがんだりした瞬間に生地が突っ張り、膝抜けや窮屈さの原因になります。細さを追い求めたスラックスが傷みやすくなる理由については、ブログ「なぜ「細身」を追い求めると、スーツは短命になるのか?」で紹介しています。
どうしてもタイトに穿きたい場合は、ストレッチ性のある生地を選ぶと、動きやすさと見た目を両立しやすくなります。
裾丈とのバランスも大切
テーパードスラックスは、裾丈との組み合わせで印象が変わります。裾幅が細いぶん、丈が長すぎると裾がたまってだらしなく見え、短すぎると足首が目立ちすぎます。一般には、靴の甲に裾が軽く触れるくらいか、それより少し短めに合わせるとテーパードの形がきれいに見えます。ただし短めにするほど、座ったときに裾が上がって足首が見えやすくなります。丈を決めるときは、椅子に座った状態でも確かめてください。
裾丈の決め方については「スラックスの丈の目安」で詳しく解説しています。
既製品のテーパードを選ぶときのチェックポイント

既製品のテーパードスラックスを選ぶときは、試着で次の点を確かめておくと失敗を減らせます。
まず、立った状態だけでなく、椅子に座ってみることです。太ももや膝まわりが突っ張らないか、ポケットに手を入れたときに窮屈でないかを確認します。座ったときに膝の上に生地が張り付くようなら、そのスラックスはあなたの体型には細すぎます。
次に、ウエストに合わせたときに太ももが入るかどうかです。太ももに合わせるとウエストが大きく余る場合は、ウエストを詰めるお直しが必要になります。詰める量が多すぎると、後ろ中心の形が崩れてしまうこともあるので、どこまで直せるかは店で確認しておきましょう。
最後に、裾幅と靴のバランスです。普段履いている靴を履いて試着すると、裾の細さが足元に合っているかが分かりやすくなります。ボリュームのある靴に細すぎる裾を合わせると、足元だけが大きく見えてしまいます。
自分に合うテーパードを見つけるには
テーパードスラックスは、太ももにゆとりを残しながら裾に向かって細くすることで、すっきりした見た目と動きやすさを両立できるシルエットです。ただし、ワタリ幅や裾幅のちょうどよい比率は、体型や好みによって一人ひとり違います。
既製のスラックスで合わないと感じている方は、寸法を細かく決められるオーダーも選択肢になります。L’ECRINではスラックス単品のお仕立ても承っていますので、体型の悩みも含めてお気軽にご相談ください。
オーダースーツのご相談
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