スーツの着丈は、ジャケットの長さのことです。袖丈や裾丈に比べて意識されにくい箇所ですが、後ろ姿や全身のバランスを大きく左右します。短すぎると軽く見え、長すぎると脚が短く見えてしまいます。
しかも着丈は、お直しでほとんど調整できません。だからこそ、スーツを買う段階で正しい長さを見極めることが大切です。
この記事では、スーツの着丈の目安、自分で測る方法、試着で確認するポイント、よくある失敗例を順に解説します。
スーツの着丈の目安は「お尻がほぼ隠れる長さ」

現在の主流は、後ろから見たときにお尻の大部分が隠れる長さです。目安としては、お尻が8割から全部隠れるくらいが最も落ち着いて見えます。
2000年代後半から2010年代にかけては、お尻が半分ほど見える短めの着丈が流行しました。ネット上にはその頃の感覚で書かれた解説も残っていますが、最近はクラシックな装いへの回帰が進み、短すぎる着丈は少し前のスタイルという印象を与えやすくなっています。
昔から使われている目安
着丈を決める目安として、昔から次のような方法が使われてきました。どれも絶対の基準ではありませんが、試着のときの参考になります。
- 腕を自然に下ろしたとき、裾が手のひらの中ほどから指の付け根あたりにくる
- 首の付け根から裾までの長さが、身長のおよそ半分になる
- 後ろから見て、お尻のふくらみがほぼ隠れる
腕の長さや脚の長さには個人差があるため、ひとつの目安だけで決めず、複数を組み合わせて鏡で全身を確認するのが確実です。
着丈の測り方

ジャケットの着丈は、背中側の襟の付け根(首の付け根の縫い目)から、裾までをまっすぐ測った長さです。ネット通販のサイズ表に書かれている「着丈」も、多くはこの測り方によるものです。
自分に合う着丈を知りたいときは、手持ちのジャケットのうち、後ろ姿がいちばんしっくりくるものを平らに置いて測るのが手軽です。その数字を基準にすると、通販で選ぶときも大きく外しにくくなります。
体を直接測る場合は、背筋を伸ばして立ち、首の付け根の骨のあたりからお尻のふくらみが終わるあたりまでを、誰かに測ってもらいます。ひとりで測ると姿勢が崩れて誤差が出やすいので注意してください。
試着で確認したい3つのポイント
着丈は前から見ても判断しにくい箇所です。試着では、次の3点を意識して確認しましょう。
後ろ姿を合わせ鏡で見る
正面の鏡だけでは着丈は分かりません。合わせ鏡を使うか、スマートフォンで後ろ姿を撮ってもらい、お尻がどのくらい隠れているかを確認します。
前ボタンを留めて裾の線を見る
ボタンを留めた状態で、前裾が左右でそろっているか、裾が前に向かって不自然に跳ね上がっていないかを見ます。お腹まわりや胸の厚みに対して生地が足りないと、前裾が持ち上がり、実際より短く見えます。
スラックスと合わせて全身を見る
着丈の印象は、脚の見え方とセットで決まります。スラックスを穿き、靴を履いた状態で全身を見て、上半身と下半身の比率が自然かどうかを確かめてください。
着丈選びでよくある失敗
細身に見せたくて短い着丈を選ぶ
短い着丈は脚が長く見えるという理由で選ばれがちです。ところが、お尻が出すぎると後ろ姿が落ち着かず、ビジネスや式典の場では軽い印象になります。体格のいい人ほど、短い着丈はジャケットが小さく見える原因になります。
胴回りだけでサイズを選ぶ
既製スーツは、胸囲やウエストでサイズが決まると着丈もほぼ自動で決まります。胴回りに合わせて小さめのサイズを選ぶと、着丈まで短くなってしまうことがあります。同じ胸囲でも着丈の違う展開(身長別のサイズ)があるブランドなら、そちらを試してみてください。
あとで直せばいいと考える
着丈を詰めるお直しはできますが、腰ポケットとの距離が近くなるため、きれいに収まるのは1〜2cm程度までです。長くすることはほぼできません。袖丈や裾丈と同じ感覚で考えず、着丈だけは買う時点で合っているものを選ぶのが原則です。お直しできる箇所の全体像はスーツのお直しでできること・できないことにまとめています。
ジャケットの種類やシーンで変わる着丈
ここまでの目安は、ビジネスで着るシングルのスーツを前提にしています。ジャケットの種類や着る場面によって、ふさわしい着丈は少しずつ変わります。
ダブルのジャケット
前の打ち合わせが深いダブルのジャケットは、上半身に重心が集まりやすいデザインです。シングルと同じか、やや長めの着丈にすると、全体のバランスが落ち着きます。短いダブルは、カジュアルで軽い印象になります。
礼服やタキシード
結婚式や式典で着る礼服、タキシードは、格式を重んじる服です。流行の短い丈よりも、お尻がしっかり隠れるクラシックな着丈が基本になります。写真に残る機会が多いことも考えると、落ち着いた長さを選んでおくと後悔がありません。
カジュアルなジャケット
チノパンやデニムに合わせる単品のジャケットは、スーツより少し短めでも違和感がありません。ただし、スーツのジャケットを単品で着回す場合は、スーツの着丈のままで問題ありません。用途を決めずに選ぶなら、スーツの基準に合わせておくほうが幅広く使えます。
体型によって合う着丈は変わる
着丈の目安は、標準的な体型を前提にしたものです。お尻が後ろに張っている人、反り腰の人、胸板が厚い人は、同じ着丈でも裾の跳ね上がり方や見え方が変わります。
たとえばお尻の位置が高く張っている人は、後ろの裾がお尻に持ち上げられて短く見えやすくなります。その場合、数字の上では十分な長さでも、実際の見た目では足りないことがあります。サイズ表の数字だけで判断せず、着た状態で確認することが大切です。
袖丈やスラックスの丈もあわせて見直したい方は、スーツの袖丈の目安とスラックスの丈の決め方も参考にしてください。袖丈・裾丈・着丈の3つの決め方については、ブログ「ネットの「スーツ丈基準」を信じると失敗する理由」で紹介しています。
着丈が合わないなら、仕立てで解決する方法も
既製スーツで、胴回りに合わせると着丈が短く、着丈に合わせると胴回りが大きい、という状態が続く人は少なくありません。お直しで解決しにくい着丈は、オーダーで最初から体に合わせてしまうのが近道です。
L’ECRIN(レクラン)では、後ろ姿のバランスまで確認しながら着丈を決めています。今お持ちのスーツの気になる点も含めて、お気軽にご相談ください。
オーダースーツのご相談
袖丈・裾丈・着丈も、肩や腕まわりも、サイズ表ではなくお客様の身体に合わせて仕立てます。既製品が合わずお困りの方も、お気軽にご相談ください。
ご来店は予約制で、サロンを貸し切りでご利用いただけます。
お電話でのご予約:0956-76-9512 ・ lecrin0707@gmail.com

