お気に入りのスーツの膝が出てきた、袖口が擦れてきた。そろそろ買い替えたほうがいいのか、それともまだ着られるのか。スーツの寿命は判断が難しく、気づいたときには周りから見てくたびれた印象になっていることもあります。
スーツの寿命は、生地の質よりも、着る頻度と休ませ方で大きく変わります。この記事では、スーツの寿命の目安と買い替えのサイン、長持ちさせるための着方と手入れを解説します。
スーツの寿命の目安は着る頻度で変わる
スーツの寿命は、仕事で日常的に着る場合、一般に2〜3年程度といわれることが多いです。ただしこれは、数着をローテーションしながら着た場合の話で、同じ1着を毎日着続ければもっと早く傷みます。反対に、冠婚葬祭のときだけ着るスーツなら、体型が変わらない限り10年以上着られることも珍しくありません。
つまり、年数で区切るよりも「どのくらいの頻度で着て、どう休ませているか」で考えるほうが実態に合っています。
買い替えを考えたい5つのサイン
次のような状態が目立ってきたら、寿命が近づいているサインです。
生地のテカリ
お尻や肘、背中など、こすれやすい部分の生地が光って見える状態です。繊維がつぶれて平らになることで起こり、一度出ると元に戻すのは難しくなります。濃い色のスーツほど目立ちます。
膝抜け
スラックスの膝の部分が丸く伸びて、立っているときにも膨らみが残る状態です。座る、しゃがむといった動作で膝に負担がかかり続けると起こります。
股擦れ
スラックスの内ももの生地が薄くなり、最後には穴が開きます。太ももが太い方や、歩く量が多い方ほど早く傷みやすい部分です。
袖口や裾の擦り切れ
ジャケットの袖口やスラックスの裾は、机や靴とこすれて少しずつ擦り切れていきます。生地の端が白っぽく毛羽立ってきたら注意が必要です。
型崩れ
肩のラインが落ちてきた、前身頃が波打つようになった、という状態です。ジャケットの中の芯地が傷んでいる場合もあり、プレスだけでは直らないことがあります。
テカリや小さな擦り切れは、お直しやプレスで目立たなくできる場合もあります。どこまで直せるかについては「スーツのお直しでできること」も参考にしてください。
スーツを長持ちさせる着方
寿命を延ばすうえで一番効くのは、手入れよりも着方です。
1日着たら休ませる
ウールの生地は、着ている間に吸った湿気や体温で伸び、休ませるあいだに元の形に戻ろうとします。毎日同じスーツを着ると戻る時間がなく、シワや型崩れがたまっていきます。仕事で週5日着るなら、最低でも2〜3着をローテーションするのがおすすめです。
スラックスを多めに持つ
ジャケットよりも先に傷むのがスラックスです。座る、歩く、しゃがむといった動作の負担をすべて受けるためです。同じ生地でスラックスを2本作っておくと、スーツ全体の寿命が大きく延びます。オーダーの場合は、注文時にスラックスを追加できるか相談してみるとよいでしょう。
サイズに少しゆとりを持たせる
細身のシルエットは見た目がすっきりしますが、体に張り付くほど細いと、動くたびに生地が引っ張られて傷みが早くなります。特にスラックスの膝や股は影響を受けやすい部分です。
細くしすぎたスラックスが膝抜けを起こしやすい理由については、ブログ「なぜ「細身」を追い求めると、スーツは短命になるのか?」で紹介しています。どうしてもタイトに着たい場合は、ストレッチの効いた生地を選ぶと傷みを抑えやすくなります。
日々の手入れで差がつくこと
着方と合わせて、普段の手入れも寿命に影響します。どれも数分でできることです。
帰宅したらブラッシング

生地の表面についたほこりや汚れは、そのままにすると繊維の奥に入り込み、生地を傷める原因になります。帰宅したら洋服ブラシで上から下へ軽くブラッシングするだけで、見た目も長持ちの度合いも変わります。
肩に合った厚みのあるハンガーにかける

クリーニング店の細い針金ハンガーにかけたままにすると、肩の形が崩れます。肩の幅と厚みに合った木製などのハンガーを使い、ポケットの中身は出しておきましょう。スラックスは裾をクリップで挟んで逆さに吊るすと、重みでシワが伸びやすくなります。
風通しのよい場所で湿気を飛ばす
着たあとのスーツはすぐにクローゼットに入れず、一晩ほど風通しのよい場所にかけて湿気を飛ばします。雨に濡れたときは、乾いたタオルで水分を押さえてから陰干しします。
クリーニングに出しすぎない
ドライクリーニングは汚れを落とせる一方で、生地の油分も抜けていきます。目立つ汚れがなければ、シーズンに1〜2回程度でも十分です。シワはスチームアイロンや、浴室の湯気が残る場所に吊るすだけでもある程度伸びます。
体型の変化も寿命を決める
生地がまだ傷んでいなくても、体型が変わって着られなくなるのも、スーツの寿命のひとつです。ウエストや太もものサイズが変わった程度なら、縫い代の範囲でお直しできることがあります。肩幅や胸周りは直しにくい部分なので、大きく体型が変わった場合は作り直しを考えたほうがよいこともあります。
体型に合っていないスーツは、無理な力がかかって傷みも早くなります。今の体に合っているかどうかの見分け方は「スーツのサイズ感」で解説しています。
スーツは何着あれば足りるか
ローテーションを前提にすると、仕事でほぼ毎日スーツを着る方は3着程度あると安心です。2着でも回せますが、1着をクリーニングに出している間は毎日同じものを着ることになり、傷みが早くなります。
色は、紺とグレーを中心にそろえると着回しがしやすくなります。冠婚葬祭用のスーツは仕事用とは分けて持っておくと、いざというときに慌てずに済みます。礼服については「礼服と喪服・ブラックスーツの違い」で詳しく紹介しています。
傷み始めたスーツを無駄にしない工夫
スラックスだけが先に傷んでしまった場合でも、ジャケットまで手放す必要はありません。無地や控えめな柄のジャケットであれば、グレーやベージュのスラックス、チノパンなどと合わせて、ジャケパンスタイルで着回せます。
反対に、ジャケットに傷みが出てきたときは、スラックスだけを別のジャケットと組み合わせる方法もあります。ただし、上下で生地の色味が近すぎると、スーツの上下を間違えて着ているように見えることがあります。組み合わせるときは、色や素材感をはっきり変えるほうがまとまりやすくなります。
また、季節に合わない生地を無理に着ると傷みが早くなります。真夏に厚手のウールを着れば汗を多く吸いますし、冬物を春先まで着続けると生地が湿気を含んだ状態が長くなります。春夏用と秋冬用で生地を分けて持っておくと、1着あたりの負担が減り、結果として長く着られます。
長く着られる一着を選ぶために
スーツの寿命を決めるのは、生地の良し悪しよりも、サイズの合い方と着方です。体に合ったゆとりがあり、ローテーションで休ませながら着れば、同じスーツでも何年も気持ちよく着られます。
L’ECRINでは、お客様がどんな場面でどのくらいの頻度で着るのかをお聞きしたうえで、長く着られる生地とサイズをご提案しています。スラックスの追加や、今お持ちのスーツの悩みについても、お気軽にご相談ください。
オーダースーツのご相談
袖丈・裾丈・着丈も、肩や腕まわりも、サイズ表ではなくお客様の身体に合わせて仕立てます。既製品が合わずお困りの方も、お気軽にご相談ください。
ご来店は予約制で、サロンを貸し切りでご利用いただけます。
お電話でのご予約:0956-76-9512 ・ lecrin0707@gmail.com

